中小企業・NPO法人等の経営支援

 

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コンサルティング事例紹介

任意団体「ほくと子育てのもりNORTHTREE」のNPO法人化-

オフィスkiyoharuが2020年よりコンサルティングを行い、2022年1月にNPO法人設立に至った「ほくと子育てのもりNorthtree 」。

このページでは、NPO法人設立までの経緯についてご紹介します。 

 (語り手:オフィスkiyoharu理事/Northtree代表 平出結佳)

団体設立のきっかけ

 初めての子育て、仕事から離れての子育てに奮闘する親たちは、社会から孤立してしまい、戸惑いが多い中で過ごしているのではないかと感じていました。実際、周りからもお互いに相談できる環境が身近になく「困っている」「一人で抱えている」ということも耳にしました。

 一方で、北杜市は、行政の子育て支援が手厚く、施設もたくさんありますが、その分、自分たちで考えなくても「何かしてくれる」と頼りきりになってしまう部分も見受けられました。

 どの時代も、子育て世代は今後の世の中を背負っていく人々です。そのため、「自分たちで考えて、行動していく」ことも大切だと思い、自分たちにできることからやってみようと、2015年に2名のメンバーで活動を開始しました。 

活動の発展~現在まで

 最初の活動はママのフリートーク会でした。親同士の交流の場はあるものの、いつも特定のメンバーで集まってしまいがちで、また雑談をするだけでは普段知りたいと思っていることをピンポイントに知ることができないと考えたことが始まりです。そのため、例えば予防接種のこと、遊び場所のことなど特定のテーマを設けた会を企画しました。 

 そうした親同士の会話から次の新しい企画が生まれ、保育園グッズのリユース活動「めぐりもの」や、子育て施設情報誌「SUNNY」の発刊などに繋がりました。自分達が「あったらいいな」と思うものを一つ一つ実現していった感じです。

 Northtreeの活動を始めるまでは、子育てに関する愚痴を言うことはあっても、「どうしたらいい?」という考えにまでは至りませんでした。それを、メンバーや参加者との対話の中で解決していきました。

 

 出来る範囲で活動していましたが、そのうちに行政との繋がりも生まれました。初めて「事業」という形で行ったのは2020年、北杜市からのコールセンターの受託事業で、地域のデマンド交通の予約センターの仕事でした。子育てからは少し外れますが、「子育てをしやすいまちにするには、まち全体が暮らしやすくしなくては」との考えから、活動の範囲を広げました。人を雇ってお給料を払って、というのは初めてのことで、予算立てなども意識するきっかけになりました。 

 

 活動の中で気をつけていることは、「誰でも、いつでも、どこでも参加できる」ということです。固定のメンバーで集まるサークルのような活動にはしたくないという想いがあったため、登録制にはしていません。しばらく顔を出していなくても、気が向いた時に気軽に来られる場所になればと考えています。

 運営スタッフは2人から始まり、現在までに5人程度に増えました。一つ一つの活動に賛同してくれる人がその時に手伝ってくれるので、うまく運営ができています。運営はボランティアベースで、メンバーは他の仕事と掛け持ちする人、受託事業に関わる人と様々です。

オフィスkiyoharuの経営助言~NPO法人化まで

 活動がどんどん広がっていく中で、将来的には法人化したいという想いがあり、元々面識のあったオフィスkiyoharuのメンバーに相談をしていました。本格的にオフィスkiyoharuに関わっていただくことになったのは、上述した北杜市からのコールセンターの受託事業です。北杜市との契約は、任意団体よりも法人による契約が好ましいとのことでしたので、公益法人であるオフィスkiyoharuの一事業部として暫定的に参入することを提案してもらい、2020年にオフィスkiyoharuの「Northtree事業部」を立ち上げました。 

 オフィスkiyoharuに参入した当初は、法人としての独立が将来的に実現可能かを見極めようと思っていました。収支を数値化して、会計の基本的な考え方や組織づくりを助言してもらうことで、事業規模が把握できるようになり、組織としての対外的な説明もできるようになっていきました。

 

 経営助言を受けて良かった点は、経験豊富なメンバーが会計の専門用語などのわからないことに一つ一つ答えてくださり、疑問をそのままにせず次のステップに進むことができたことです。それにより、運営に必要な経費を考えられるようになったり、新しいことを始める時も想いだけで突っ走るのではなく、しっかり予算を組んだりすることが習慣となりました。行政との契約や交渉方法、有給のスタッフの雇用などについても一から教わることができました。給与の計算方法はもちろん、保険の関係や税金関係、そしてスタッフへのケアや雇用主としての心得を、実際にあったトラブル事例なども踏まえて話してくださったので、形式的なことだけではなく、なぜそうしなければいけないかということまで深く理解できました。 

NPO法人化と今後の展望

 その後、行政からの受託の機会も増え、子育て支援事業の民営化が進んでいる流れもあり、法人化を本格的に考え始めました。オフィスkiyoharuの事業部として続ける選択肢もありましたが、独立後もコンサルティングは継続すること、支えてくれる人が増えてきたことが後押しとなり、法人化を決断しました。法人化に際しての準備や手続きも、メンバーで話し合って自分たちで行いました。 

 2022年1月に、 北杜市を拠点に「親子の心地よい子育て支援事業」、「支え合うまちづくり事業」、「異年齢・多世代交流事業」、「コールセンター事業」を主な活動の柱として、NPO法人「ほくと育ちあいのもりNorthtree」 を設立しました。設立に際しては、 オフィスkiyoharuの「Northtree事業部」 で内部留保した資金を、 オフィスkiyoharuからNPO法人に対して寄付してもらい、NPO法人の運営資金を確保することができました。

 

 NPO法人化したことで、やりたいことを実現できる方法を模索しやすくなり、「試しにやってみよう」というチャレンジもできるようになりました。事業として成り立つかどうかの検証はもちろん行います。情報開示、説明責任の面でも法人化したことはプラスに働きました。経営面では、Northtree単独で寄付が受けられるようになり、またそれを有意義に使うためにはどうしたらいいかを考えられるようになりました。

 一番の変化は、関係者が増えたことで、その意見をちゃんと聞いて反映させるという責任が芽生えたことです。オフィスkiyoharuの支援を受けたことで、会計、福祉等の様々な視点を生かし、またバランスを取りながら運営できるようになりました。 

 

 NPO法人化により、団体名を「ほくと子育てのもりNorthtree」から「ほくと育ちあいのもりNorthtree」に変更することになりましたが、これは活動をしていく中で、子育てに限らず、子育てを中心とした地域づくりの活動にも発展させていきたいと考えたからです。Northtreeの活動を通して気付いたことですが、子育ての時間を充実して過ごせた人は、「私にも何かできることはないか?」と、次の世代に還元しようとします。そうした良い循環を生み出し、0歳から100歳までの地域の人たちの暮らしに寄り添える団体になることが目標です。